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未来に繋がる香川へ

2014年

香川県立香川中部養護学校 校長  三井 一良 さん 

2014年6月30日

「一人一人の個性を活かせる道を見出してあげることによって子どもが輝く」
 
Profile 69
今回、お話をお伺いしたのは・・・
香川県立香川中部養護学校 校長  三井 一良 さん
 
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知的障がいのある3歳から18歳までの子ども達が通う中部養護学校。島しょ部や
遠隔地などの理由で通えない子ども達のための寮もあり、数百人が通う大規模の
学校です。当校に行ってみると、子ども達がそれぞれの個性を輝かせながら学んで
いました!そんな中部養護学校の校長先生を務める三井校長に話を伺いました。
 
Q: 特別支援教育の道に進もうと思ったきっかけはありますか?
-  話は高校時代にまで遡ります。高校時代は電気科を専攻していて、公開展でうそ
発見機の催しをしたんです。うそをつくと緊張して指が汗ばむ特性を利用して、機械
が反応する仕組みになっていました。
 
その公開展がきっかけで、心理学に関心を持ち始めて、大学では心理学を専攻した
のです。大学時代に、この学部を卒業すると養護学校の教員免許を取れると聞いて、
初めて養護学校の存在について知りました。
 
そして、大学4年生の時に養護学校の教育実習に行ったのですが、それが特別支援
教育の道に進むきっかけとなったのです。
 
教育実習に行った先は、小児病院の中に併設された養護学校だったのだそう。

Q: 教育実習でのどんな出合いが特別支援教育の道に進むきっかけとなったのですか?
- 教育実習先となった養護学校は、県立の養護学校として生まれ変わったばかりだっ
たのです。教育実習を受け入れていただけることになって、実際に行ってみると、病弱の
子ども達のための養護学校でした。そこには、寝たきりの重度の子ども達もいて、知的
障がい者が学べる場があることを、その時知ったのです。
 
実は、私にはダウン症の叔父がいました。私が子どもの頃、その叔父がノートにいろんな
ことを書きつづっていたのが子ども心にとても印象的でした。叔父は学校に通っていなか
ったのですが、ノートを出しては書き連ねている姿を見て、本当は学校に行きたかったの
ではないかな・・と子ども心に感じていました。その叔父と重度の障がい児の姿がオーバー
ラップして、障がいのある子どもに学べる場を提供する仕事をしたいと思ったのです。 
 
Q: 養護学校の校長としてどんなことを大切にしていますか?
- 私は、特別支援教育に携わる者として、『子どもと共に』ということを大切にしています。
子どもの目線に立って、子どもがなぜそういう行動を取るのか理解しようとすることが、
子どもの個性を見出すことに繋がると思うからです。
 
また、先生が先生としての役割をしっかり担う学校づくりを大事にしています。先生の役割
というのは、生徒一人一人の個性を見出して、その個性を伸ばしてあげることです。生徒が
できないことを叱るのは実は一番簡単なことですが、それでは、教育者としての役割を放棄
しているのと同じです。時間はかかっても子どもの個性をきちんと見つけて、社会に出てしっ
かり生きていけるような力をつけさせてあげるのが教育現場だと考えています。
 
子どもの視点に立つことを大事にする三井校長にとって、子どもから教わることも多いのだそう。
Q: 子どもから教わることって例えばどんなことがありますか?
- 子どもから教えられることは多くて、例えば、一つの例として、物事の見方があります。
大人は、ついつい感覚よりも理論が先に立ってしまいます。何か物事が起こると、その原因
を分析しようとするし、過去の経験値から物事を推測したりしがちです。
 
でも、子どもは違います。感覚から入るんです。先入観を持たずに自分の感性で人や物事を
まっすぐ見つめます。固定観念を持たず、物事を素直に捉える姿勢の大切さは、子どもから
学びました。 
 
Q: 養護学校の校長として働きながら、改善したい課題はありますか?
- 『不易流行』という言葉があります。いつまでも変化しない本質的なものを大事にしながらも、
新しく変化を重ねていくことが大切だという意味です。当校は、知的障がい児の学校として歴史
を持ち、規模も大きな学校です。
 
そのため、歴史の上に腰を置きすぎているのでは・・と感じる部分があります。伝統として守る
必要がある部分は守りながらも、世の中の流れに応じて変えていかなければいけない部分は
新しいものを取り入れていきたいですね。
 
Q: 最後に一言メッセージをお願いします。
- 子ども達は一人一人違う個性を持っています。だからこそ、「障がい児」という固まったイメージ
で捉えず、一人一人を見て欲しいですね。そうすると、一人一人が持つ強みや能力に気づくはず
です。

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          家庭科の授業では、裁縫を学んでいました!コツコツと集中して一生懸命縫っている様子が印象的でした!

重度の障がいがあってうまく動けない子どもも、秘めた能力を持っています。その能力を活かせる
かどうかはそばにいる人が障がいをどう受け止めるかによると思います。
 
また、障がいをハンディではなく、個性と受け止めて、その人が持つ強みを活かせるような生き方
ができれば、その子が輝きます。障がいのある子ども達に対して正しい理解をして下さる方々が
増え、心のバリアフリーが広がったらうれしいですね。
 
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   調理実習の授業では、美味しそうな焼きそばが!とっても楽しそうな雰囲気の中で作られていました。

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Profile:
三井 一良 さん 
昭和29年10月27日生まれ。仲多度郡多度津町出身。名古屋の大学を卒業後、
善通寺養護学校や西部養護学校、丸亀養護学校、教育委員会、聾学校、中部
養護学校などで勤める。その間、京都大学に内地留学し、言葉の発達障がい
について知識を深める。平成25年4月から中部養護学校の校長に再着任。
現在に至る。
香川県立香川中部養護学校 
住所:香川県高松市田村町784番地
TEL: 087-867-3522
FAX: 087-866-4297
http://www.kagawa-edu.jp/chubuy01/
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