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未来に繋がる香川へ

香川大学医学部付属病院 副病院長  筧 善行 さん

2013年8月15日

必要な医療を必要な人にしっかり提供する取組みを。

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今回、お話をお伺いしたのは・・・香川大学医学部付属病院 副病院長
香川大学医学部 泌尿器科学 教授  筧 善行 さん

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中高年の男性に多く見られる前立腺ガンは、罹患者数が急増。2020年には男性のがんで2位に
なると予想されている。そんな前立腺ガン患者の治療法に関して、先進的な取り組みを行っている
香川大学医学部の筧教授に話を伺った。

Q:前立腺ガンの罹患数は?
- ガンの中でも、群を抜いて急激に増えているのが前立腺ガンです。80年代には患者数は数千人
だったのですが、今では5、6万人もの罹患数にまで増えています。2020年には約8万人にまで
増えると予測されています。
 
Q:急激に増えている要因は?
- 食生活の欧米化があります。肉を主体とした高脂肪食・高タンパク食に偏りがちとなっているのが
要因の一つですね。もう一つの要因は、PSA検診の普及です。前立腺がん発見の血液検査で、
PSA値が高いほど前立腺がんが疑われます。
 
Q:前立腺ガンの治療方法は?
- 一般的な治療の選択肢としては大きく分けて3つあります。一つ目が「根治的前立腺摘徐術」と
呼ばれる手術、二つ目が放射線療法、そして、三つ目が内分泌療法です。3つの選択肢の中で、
前立腺を摘出する治療が一番多いのが実情です。その理由は、治療の遅れによるガンの転移を
恐れる患者さんが多いからでしょう。

しかし、早期ガンの中には「低リスクガン」と言って、患者さんの生命予後に影響を与えないおとなしい
ガンが含まれています。これらには「監視療法」といって当面は治療を開始しないで経過観察する方法
もあります。
 
Q:前立腺がんに対してどのような取り組みを?
- 日本では年間1万人以上が前立腺ガンで亡くなっておられます。転移がない場合、前立腺ガンの多く
は前立腺の全摘出(切除)治療が適応されるケースが多いのが実情です。しかし、摘出手術を受けた
患者の中には、その結果、尿失禁やインポテンツなどで悩むケースも・・。

一方、低リスクガンでは、慌てて治療をしなくても良い可能性が高いにも関わらず、その可能性を患者
さんにしっかり説明されずに過剰治療が行われている現状があります。

そこで、前立腺の全摘出(切除)治療が主流だった10年以上前から、経過観察をしながら、病勢が増悪
したものだけを治療する監視療法を進めています。もちろん、前立腺の摘出手術が必要だと判断された
場合には、世界水準の高度な手術を提供するように努めています。

最近は、ダビンチというロボットを使った高度な腹腔鏡手術を開始しており、合併症の罹患率をさらに
減らす取組みを開始しています。個々のガン患者のリスクをしっかり見極め、適切な治療方法を提供
することを大事にしています。
 
次に、筧教授の仕事について話を伺ってみた。筧教授はなぜ医師になろうとしたのだろうか、また、医師の
仕事にはどんなやりがいがあるのだろうか?

Q:医師になろうとしたきっかけは何でしょうか?
- ひいおじいさんの時から医者をしており、医者の家系で育ったのです。他の選択肢は思い浮かびません
でしたね。音楽も好きだったので、オーケストラに関心もあったのですが、医師になるというのが自然の流れ
だったんです。
 
泌尿器科を選んだのは、外科系の中では歴史が浅く、日本では地位が確立されていなかったからなんです。
自分の中で反骨心もあり、泌尿器科の地位確立のためにやってやるぞと思ったんです(笑)。また、京都大学
の恩師に惹かれたというのもありますね。

Q:仕事のやりがいはどんな部分ですか?

- 私は、常識を変えたいという思いを持っています。研究面では、誰も気づいていない現象に気づき、その
理論的背景を新しく発見された事実として発表できるとうれしいですね。泌尿器科ではバイブルと呼ばれて
いるキャンベルという教科書に私の研究結果がいくつか掲載されていることは密かに誇りにしています。

ただ、常識と違うことを唱えると反対意見を受けます。前立腺ガンの治療にしても、過剰治療がなされている
現状でいいのか?と思っていました。前立腺ガンの無治療監視療法を提唱した時には、何を言っているの
か?という意見もありました。

しかし、厚生労働省の研究班を指揮して研究を進め、徐々に日本にも監視療法が定着してきていることは
嬉しいですね。

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筧 善行(かけひ よしゆき)さん
Profile
京都大学大学院医学研究科卒業。医学博士。
京都大学医学部泌尿器科講師や助教授などを経て、
平成13年から香川大学医学部泌尿器科教授を務める。
平成23年4月から香川大学医学部付属病院長を併任。

住所:香川県木田郡三木町池戸1750-1 
     香川大学医学部 泌尿器科学教室
TEL:087-891-2202
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