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徳武産業株式会社 代表取締役 十河 孝男さん
2013年4月25日
「ケアシューズという『モノ』を通して真心という『心』を届けていきたい。」
Profile65
今回お話をお伺いしたのは・・・徳武産業株式会社 代表取締役 十河 孝男さん
今や、高齢者向けのケアシューズのトップシェアを誇る徳武産業。同社は、「日本で一番大切にしたい会社」で紹介され、「四国でいちばん大切にしたい会社大賞」も受賞し、高い評価を得ている。その背景には、徳武産業ならではの取組みや工夫があり、十河社長の強い思いがある。そこで、十河社長に、商品や経営に関して話を伺った。
Q:ケアシューズ(介護シューズ)のトップブランド企業に至った理由は?
- ケアシューズがニッチな市場だからこそ勝てたのだと、私は思っています。中小企業が勝てる分野はニッチしかないと思っているんです。また、ニッチの分野でも、その市場が成長するのかどうかを見分けることが重要です。当社のお客様は、主に高齢者の方々ですが、高齢者の絶対人口が増え続いており、65歳以上の人口は2600万人、後期高齢者は1600万人と言われています。50年後には、約4割が高齢者という超高齢化社会が到来すると言われています。ニッチでも成長市場の分野であったことが大事だったと思います。
Q:経営上大事にしていることは?
- 徳武産業の哲学として「真心と感謝の経営」を掲げ、心の底からお客様を思いやる真心を持つことを大事にしています。商品と同じくらいの比率として「心」を売りたいと思っているんです。あゆみという「モノ」に、お客様に対する「心」を付加していくことが大事だと思っています。 経営という部分では、しっかりとした利益率を確保することです。利益を上げてこそ社員に安定した働く機会を与えることができ、地域にも継続して貢献できると思っているからです。
毎年経営計画書をつくり、組織上のポジション、役割、責任と権限、仕事の内容など、1年間の計画を全社員と共有しています。誰かがこけていたら起こしたり、遅れていたら幹部たちも一緒になって指導しています。毎月のことをきちきちっとやっていくことが本当に大事だと感じます。また、社員に対して、物心両面での幸せを提供したいと心がけています。例えば、ボーナスは、年2回渡しているのですが、その都度、直筆で手紙を書いて同封しています。手紙では、社員の良い所を褒めてあげるんですよ。「でもなあ、ここは直せよ。」と書いたりもしますけどね(笑)。
Q:あゆみシューズがヒット商品になるまでの道のりは?
- あゆみシューズは、全くの新しい商材だったので、初めはどんなニーズがあるのか正直分からなかったですね。介護施設で話を伺う内に、軽くて、かかとがしっかりしていて、つまづかない靴が必要とされていることが見えてきました。また、左右サイズ違いの靴を提供するというのも鍵でした。足のはれやむくみの状態によって、両足の靴のサイズが違う人がいるので、左右別々のサイズの靴の組み合わせを通常と同じ値段で販売したり、片足のみの半額販売を日本の靴業界で初めて行いました。
また、無機質なモノを有機質なものに変えていくということを重視しました。モノを売るのではなく、「心」を売るということを大事にしてきたんです。あゆみシューズがヒット商品になったのは、「心」を売るという姿勢がお客さんの心に響いたのではと思っています。心を込めて書いたハガキを商品に同封したり、2年間お誕生日プレゼントを送ったり、心を届ける工夫を大切にしています。
この機械で靴の上部に靴底をくっつけている。
Q:あゆみシューズのお客様で特に記憶に残っていることはありますか?
- 靴を買いに来た筋ジストロフィーの男の子が深く印象に残っています。車いすに座った彼の足には靴下だけ履かされていました。足先は大きく曲がっていて、合う靴が無いということでした。その男の子の靴が出来上がって履いてもらった時には、「死ぬまでに靴をはけないと思っていた。」と、大変喜んでいましたね。靴を履くことを通して、人間としての尊厳を確立してあげられたのではと、この仕事をしていて良かったと心から思いました。
徳武産業の靴の特徴:
足のむくみや腫れ、変形などによって靴が履きづらかったり、左右の足のサイズが違ったり、既成の靴が履けずに苦しんでいる人達がいる。また、手が不自由で靴が履きづらい人もいる。「自分の足で歩きたい。」「自分の足で好きな所に行きたい。」そんな思いを持つ方々の望みを叶えてあげたいとの思から、徳武産業は、いろんなバリエーションの靴を開発し続けている。「心を伝えたい」との思いが工夫を凝らした靴に表れている。
足の長さが違う人には、靴の高さを変えて販売している。
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十河 孝男 さん (そごう たかお)
Prof ile
1947年生まれ。
高校卒業後、1966年に香川相互銀行(現香川銀行)に入行。
同銀行で6年間働いた後、手袋会社で勤務。
1984年に義父が経営する徳武産業に入社し、急逝した義父の後を継いで社長に就任。
徳武産業株式会社
住所:香川県さぬき市大川町冨田西3007番地
URL:http://www.tokutake.co.jp/
TEL:0879-43-2167(代表)
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