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未来に繋がる香川へ

固定残業の明示が義務化

2016年11月17日

若者雇用促進法により募集主に固定残業の明示が義務化されました。


改正青少年の雇用の促進等に関する法律(若者雇用促進法)が2015年10月1日から施行されました。
その結果、時間外・休日労働や深夜労働の一定時間分を固定残業代として支払う制度(固定残業制)を
採っている事業主は、募集・採用に当たって固定残業代に関する労働時間数、金額等を明示することが
義務化されました。

2016年12月からは、この法令の趣旨に沿って以下の①~③の記載を義務づけられています。

①固定残業代の金額
②その金額に充当する労働時間数
③固定残業代を超える労働を行った場合は追加支給する旨


そのため、以下のような記載では求人広告に掲載できなくなります。
×月給 300,000円(固定残業代30時間分を含む)
×基本給 230,000円 固定残業代 70,000円
⇒上記の2例とも、固定残業代は何時間分のみなし残業時間なのか不明確です。
みなし残業制度を導入するためには、基本給と固定残業代を明確に分け、かつ、固定残業代は何時間の残業時間
に相当するかまで定めておく必要があります。

正しい表記の事例は以下の通りです。
○基本給 230,000円 固定残業代(30時間分)70,000円、超過分別途支給
○基本給 300,000円(うち70,000円分は月に30時間分の時間外勤務手当、深夜勤務手当、休日勤務手当の
 合計に相当し、実労働時間および手当がそれに満たない場合でも支払うものとします。超過分は別途支給します。)

固定残業制を採られている事業主様には、ご協力を宜しくお願い致します。
詳しくは、以下の全国求人情報協会のHPから資料をダウンロードできますので、ご確認下さい。
https://www.zenkyukyo.or.jp/company/koteizangyou.php

 

香川県立香川中部養護学校 校長  三井 一良 さん 

2014年6月30日

「一人一人の個性を活かせる道を見出してあげることによって子どもが輝く」
 
Profile 69
今回、お話をお伺いしたのは・・・
香川県立香川中部養護学校 校長  三井 一良 さん
 
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知的障がいのある3歳から18歳までの子ども達が通う中部養護学校。島しょ部や
遠隔地などの理由で通えない子ども達のための寮もあり、数百人が通う大規模の
学校です。当校に行ってみると、子ども達がそれぞれの個性を輝かせながら学んで
いました!そんな中部養護学校の校長先生を務める三井校長に話を伺いました。
 
Q: 特別支援教育の道に進もうと思ったきっかけはありますか?
-  話は高校時代にまで遡ります。高校時代は電気科を専攻していて、公開展でうそ
発見機の催しをしたんです。うそをつくと緊張して指が汗ばむ特性を利用して、機械
が反応する仕組みになっていました。
 
その公開展がきっかけで、心理学に関心を持ち始めて、大学では心理学を専攻した
のです。大学時代に、この学部を卒業すると養護学校の教員免許を取れると聞いて、
初めて養護学校の存在について知りました。
 
そして、大学4年生の時に養護学校の教育実習に行ったのですが、それが特別支援
教育の道に進むきっかけとなったのです。
 
教育実習に行った先は、小児病院の中に併設された養護学校だったのだそう。

Q: 教育実習でのどんな出合いが特別支援教育の道に進むきっかけとなったのですか?
- 教育実習先となった養護学校は、県立の養護学校として生まれ変わったばかりだっ
たのです。教育実習を受け入れていただけることになって、実際に行ってみると、病弱の
子ども達のための養護学校でした。そこには、寝たきりの重度の子ども達もいて、知的
障がい者が学べる場があることを、その時知ったのです。
 
実は、私にはダウン症の叔父がいました。私が子どもの頃、その叔父がノートにいろんな
ことを書きつづっていたのが子ども心にとても印象的でした。叔父は学校に通っていなか
ったのですが、ノートを出しては書き連ねている姿を見て、本当は学校に行きたかったの
ではないかな・・と子ども心に感じていました。その叔父と重度の障がい児の姿がオーバー
ラップして、障がいのある子どもに学べる場を提供する仕事をしたいと思ったのです。 
 
Q: 養護学校の校長としてどんなことを大切にしていますか?
- 私は、特別支援教育に携わる者として、『子どもと共に』ということを大切にしています。
子どもの目線に立って、子どもがなぜそういう行動を取るのか理解しようとすることが、
子どもの個性を見出すことに繋がると思うからです。
 
また、先生が先生としての役割をしっかり担う学校づくりを大事にしています。先生の役割
というのは、生徒一人一人の個性を見出して、その個性を伸ばしてあげることです。生徒が
できないことを叱るのは実は一番簡単なことですが、それでは、教育者としての役割を放棄
しているのと同じです。時間はかかっても子どもの個性をきちんと見つけて、社会に出てしっ
かり生きていけるような力をつけさせてあげるのが教育現場だと考えています。
 
子どもの視点に立つことを大事にする三井校長にとって、子どもから教わることも多いのだそう。
Q: 子どもから教わることって例えばどんなことがありますか?
- 子どもから教えられることは多くて、例えば、一つの例として、物事の見方があります。
大人は、ついつい感覚よりも理論が先に立ってしまいます。何か物事が起こると、その原因
を分析しようとするし、過去の経験値から物事を推測したりしがちです。
 
でも、子どもは違います。感覚から入るんです。先入観を持たずに自分の感性で人や物事を
まっすぐ見つめます。固定観念を持たず、物事を素直に捉える姿勢の大切さは、子どもから
学びました。 
 
Q: 養護学校の校長として働きながら、改善したい課題はありますか?
- 『不易流行』という言葉があります。いつまでも変化しない本質的なものを大事にしながらも、
新しく変化を重ねていくことが大切だという意味です。当校は、知的障がい児の学校として歴史
を持ち、規模も大きな学校です。
 
そのため、歴史の上に腰を置きすぎているのでは・・と感じる部分があります。伝統として守る
必要がある部分は守りながらも、世の中の流れに応じて変えていかなければいけない部分は
新しいものを取り入れていきたいですね。
 
Q: 最後に一言メッセージをお願いします。
- 子ども達は一人一人違う個性を持っています。だからこそ、「障がい児」という固まったイメージ
で捉えず、一人一人を見て欲しいですね。そうすると、一人一人が持つ強みや能力に気づくはず
です。

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          家庭科の授業では、裁縫を学んでいました!コツコツと集中して一生懸命縫っている様子が印象的でした!

重度の障がいがあってうまく動けない子どもも、秘めた能力を持っています。その能力を活かせる
かどうかはそばにいる人が障がいをどう受け止めるかによると思います。
 
また、障がいをハンディではなく、個性と受け止めて、その人が持つ強みを活かせるような生き方
ができれば、その子が輝きます。障がいのある子ども達に対して正しい理解をして下さる方々が
増え、心のバリアフリーが広がったらうれしいですね。
 
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   調理実習の授業では、美味しそうな焼きそばが!とっても楽しそうな雰囲気の中で作られていました。

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Profile:
三井 一良 さん 
昭和29年10月27日生まれ。仲多度郡多度津町出身。名古屋の大学を卒業後、
善通寺養護学校や西部養護学校、丸亀養護学校、教育委員会、聾学校、中部
養護学校などで勤める。その間、京都大学に内地留学し、言葉の発達障がい
について知識を深める。平成25年4月から中部養護学校の校長に再着任。
現在に至る。
香川県立香川中部養護学校 
住所:香川県高松市田村町784番地
TEL: 087-867-3522
FAX: 087-866-4297
http://www.kagawa-edu.jp/chubuy01/
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香川県立高松養護学校 校長 出射隆文さん

2013年12月12日

「生きる意味、働く意義を子ども達から教わる日々」

Profile 68
今回、お話をお伺いしたのは・・・
香川県立高松養護学校 校長 出射隆文 さん
身体障がいを持つ子ども達が通う香川で唯一の学校が高松養護学校。現在、108人の子ども達
が本校で学んでいる。2年前に高松養護学校の校長先生として着任した出射校長に、学校のこと
や教育のこと、また、仕事についても話を伺った。


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Q.養護学校に着任して、どのようなことを感じていますか?
- 我が校に着任する前は、10年間教育委員会にいました。教育現場からしばらく離れ、戻りたい
という気持ちが大きかったので、学校に戻れたのは嬉しかったです。ただ、自分の担当科目の
教員ではなく、特別支援学校の校長としての復帰だったので、最初は不安もありました。

また、特別支援教育は「教育の原点」だと言われており、「教育の原点」とはどういう意味だろうか
と思っていました。一般的には、それぞれの障がいのレベルに合わせた教育をするという意味で
「教育の原点」だと言われています。個人個人に合った教育をすることが教育の原点として大事
だという意味で。

しかし、私が感じたのは、教員たちが子ども達から教わる場という意味での教育の原点だと感じ
ました。障がいがありながらも一生懸命生きている子ども達に毎日接することによって、生きる
ことの大切さや命の尊さを教わりました。

この学校に来て、私は教員としても人間としても大きく成長させてもらったし、自分の中に変化が
生じているのを感じます。
 
Q.日々、心がけていることはありますか?
- 笑顔を大事にしています。言葉を発することができない子どもや表情が無い子どもも、にこっと
笑って優しい言葉をかけるとちゃんと伝わるのです。どれだけ重度の障がいがあっても。
障がいがある人ほど空気を読む力が敏感なんです。

英語で笑顔はスマイルですが、スマイルの後にSを作ると、smilesとなります。SとSの間にmile
ができ、世界で一番長い単語になるんです。みんながスマイルになると、周りの人達にも伝染し、
1マイル(1.6キロくらい)先にもスマイルが広がるんじゃないかと思っています。
 
Q.仕事上で大変なことはありますか?
- 組織として目指すものを方向づけることですかね。それを明快にしなければ、そこで働く人たちは
何をどう頑張っていいのかわかりません。トップとしてその方向を明らかにすることは重要な役割
だと考えています。

「大変」という言葉はすごく好きですね。大きく変わると書きますが、大変なことこそ、大きく変われる
チャンスなのです。そのように捉えれば、大変なことは自分自身の成長になります。失敗が怖いから
と、挑戦をしなければいつまでたっても変われる日は来ません。 また、「楽しい」と「楽」は違います。
苦労しないと楽しいものは生まれません。そういう意味で職員や生徒が自分で考え、チャレンジする
方向に持っていけるように心がけています。
 
Q.どういう学校にしていきたいと思っていますか?
- 日本一いい学校にしたいと思っています。いい学校とは何かと言うと、子ども達にとっていい教育を
受けることができる学校です。子ども達にいい教育を提供するためには、先生方にとっても働きやすい
職場を作ることが大事だと考えています。

また、我が校では、ICT(タブレット端末、スマホなど)機器を使った肢体不自由の子ども達への教育を
進めていて、日本のトップクラスになっています。ICTを使ったOAKシステムを東大と共同で研究を
進めているのですが、瞬きしかできない子どもが扇風機をONにしたりできるシステムがあるんです。
そのようなICTを特別支援教育に活かしたいと思っています。
 
Q.文部科学省が推進している「生きる力」についてどう思いますか?
- 稲盛和夫の「生き方」という本を読んでからは、生きることは働くことだと感じています。
「働かなくてもよい状態になった時にどうするか?」が生き方を問われるのだと思います。私は、自分が
生きている存在として自分よりも周りの人達をハッピーにすることが大事だと思っています。誰知れず
何かに役立っているということが生きていることを示しているのだと思うのです。そのため、生きる力とは
働く力だと思います。
 
Q.若い人達にメッセージを一言お願いします! 
- 「働くこと」とはどういうことかと言うことをきちっと見極めて欲しいですね。自分のやりたいこと=仕事は
理想かもしれませんが、与えられた仕事をいかにプロ意識を持って周りに喜んでもらえるように取り組め
るかが生きる力であると考えています。

実は、私は教員になりたくてなったのではないんです(笑)。地球物理学(地震)を専門に研究し、研究者
を目指していたのですが、縁あって教員になり、与えられた場所で頑張ってきただけです。

自分がやりたいことを仕事としてできるのは幸せですが、その仕事でいかに頑張るかが大事だと思います。
どんな成功者でも、いろんな壁にぶつかり、その壁を乗り越えようと頑張った経験を持っています。壁にぶち
当たったとき、そこで頑張れるかが人生を大きく変えるんだと思います。

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Prof ile
出射隆文
 
1960年6月9日生まれ。53歳。丸亀高校出身。京都大学理学部卒業。
同大学大学院では地球物理学専攻。昭和60年より高校教諭として勤務。
平成14年より香川県教育委員会事務局高校教育課で10年間勤務。
平成24年より高松養護学校長を務める。
趣味は食べること、スポーツ、ドライブ、読書。

香川県立高松養護学校
香川県高松市田村町1098番地
Tel: 087-865-4500
Fax: 087-866-4916
http://www.kagawa-edu.jp/takayo01/
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*この記事はインターンシップ中の以下の大学生5名の協力により書かれました。
香川大学 教育学部 3年 東 正治
       経済学部 3年 木村 旬  
       経済学部 3年 島村 悟史
 
高知工科大学  マネージメント学部 3年 河田 梓沙
Wiesbaden Business School, Wiesbaden Vacheh Shirvanian
 

東かがわ市 市長  藤井 秀城 さん

2013年11月19日

「東かがわ市ならではの良さを活かした地域づくりを」

Profile 67
今回、お話をお伺いしたのは・・・東かがわ市の市長  藤井 秀城 さん
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東かがわ市は、平成15年4月1日に引田町・白鳥町・大内町の3町が合併して、誕生した。同市は、日本の90%以上のシェアを誇る手袋の産地として有名。また、200年以上もの伝統を持つ和三盆や醤油などの伝統産業を持ち、はまち養殖の発祥地でもある。

香川県の東の端に位置しながら、世界に誇る産業や伝統を持ち、存在感のある特色豊かな市である。そんな東かがわ市の藤井市長に話を伺った。 

Q:市政に携わるきっかけについて聞かせて下さい。 
- 東かがわ市が合併した11年前にさかのぼります。大川郡の東部三町が合併して東かがわ市が誕生したのですが、在任特例を適用した市議会のリコール(解散請求)が行われました。合併にあたり、合併協議会の委員をしていたのですが、それぞれの立場で自分達の地域性を強く主張しており、なかなか一つの市として話がまとまる状況ではありませんでした。もっと違う角度から市政を見る視点が必要だと感じ、新しい東かがわ市の誕生に役立ちたいとの思いから、市議会議員として出馬したのです。
 
Q:市が直面している課題は何でしょうか?? 
- 少子高齢化に伴う人口減少です。社会保障制度をはじめとして、わが国全体に急速な構造的変化をもたらすことが予測されています。少子高齢化の一因として、仕事と子育てを両立できる支援制度の不足が浮き彫りとなっています。働く女性の7割が出産・育児を理由に退職しているという現実があります。この状況を踏まえると、ワーク・ライフ・バランスの実現を目指した根本的な制度改革の実行が求められています。

そこで、東かがわ市では、社会全体で子育て支援ができる環境整備や教育に特に力を注いでいるんです。子育てと仕事の両立の支援事業として、小学校区毎に行なっている土曜授業をはじめ、病児・病後児保育事業、幼稚園の預かり保育、保育所の一時預かりなど数多くの事業を実施しています。
 
Q:地元企業を支援するための取組みはありますか?
- 東かがわ市では、ふるさと就職推進センターを設立し、地元企業を知ってもらう事業を行っています。市内から通勤できる企業の求人情報を無料で紹介したり、ホームページで地元企業の魅力を発信したり。また、実際に、企業と触れ合い、理解を深めてもらうために、「ふるさと企業紹介」も行っています。中学校や高校でブースを設けて企業紹介を行ったり、地元企業ツアーを行ったりしています。若者が地元に残るためには、働く場が必須です。若者が貢献できる職場が地元にあるということを知ってもらう取組みが大事だと思っています。
 
Q:地元企業への就職に関して若者に伝えたいことは?
- かつては、将来やりたい仕事を踏まえて高校や大学を選んでいましたが、今は、違います。偏差値で進学先を選ぶケースが多いと思います。どのような仕事があるのか、どういう働き方ができるのか、中高生の頃から考える機会に触れて欲しいと思います。

また、地元企業や産業に関する理解を深めて欲しいですね。例えば、手袋産業は昔と今では大きく異なります。かつては、女性が内職で縫製したり、地元の縫製工場で縫製する家内制手工業でした。今は、海外の工場で縫製しています。そのため、求められるスキルは大きく変わり、貿易のセンスや英語力を備えた人が必要とされています。都市部よりも、競争が厳しい場合もあるといった実情も知っていただきたいですね。

Q:市長にとって仕事とは?
- 私にとって仕事とは、自分そのものですね。一生のうち仕事で何をするのか?誰と一緒に生活するのか?誰を伴侶にするのか?といったことは人生に大きな影響を与え、とても大事です。仕事を通して社会的に役立つことができ、かつ、一生懸命働くことによって家族を幸せにすることが理想だと思います。

藤井 秀城 さん  
Prof ile 
昭和27年2月1日生まれ。東かがわ市白鳥町出身。明治大学工学部卒。
平成15年に東かがわ市議会議員に当選。 民生常任委員会・副委員長や
東かがわ市農業委員会委員などを務める。平成19年から東かがわ市長
を務める。

東かがわ市役所
住所:香川県東かがわ市湊1847番地1
TEL:0879-26-1214 FAX: 0879-26-1332 
URL:http://www.higashikagawa.jp/
 

 

香川大学医学部付属病院 副病院長  筧 善行 さん

2013年8月15日

必要な医療を必要な人にしっかり提供する取組みを。

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今回、お話をお伺いしたのは・・・香川大学医学部付属病院 副病院長
香川大学医学部 泌尿器科学 教授  筧 善行 さん

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中高年の男性に多く見られる前立腺ガンは、罹患者数が急増。2020年には男性のがんで2位に
なると予想されている。そんな前立腺ガン患者の治療法に関して、先進的な取り組みを行っている
香川大学医学部の筧教授に話を伺った。

Q:前立腺ガンの罹患数は?
- ガンの中でも、群を抜いて急激に増えているのが前立腺ガンです。80年代には患者数は数千人
だったのですが、今では5、6万人もの罹患数にまで増えています。2020年には約8万人にまで
増えると予測されています。
 
Q:急激に増えている要因は?
- 食生活の欧米化があります。肉を主体とした高脂肪食・高タンパク食に偏りがちとなっているのが
要因の一つですね。もう一つの要因は、PSA検診の普及です。前立腺がん発見の血液検査で、
PSA値が高いほど前立腺がんが疑われます。
 
Q:前立腺ガンの治療方法は?
- 一般的な治療の選択肢としては大きく分けて3つあります。一つ目が「根治的前立腺摘徐術」と
呼ばれる手術、二つ目が放射線療法、そして、三つ目が内分泌療法です。3つの選択肢の中で、
前立腺を摘出する治療が一番多いのが実情です。その理由は、治療の遅れによるガンの転移を
恐れる患者さんが多いからでしょう。

しかし、早期ガンの中には「低リスクガン」と言って、患者さんの生命予後に影響を与えないおとなしい
ガンが含まれています。これらには「監視療法」といって当面は治療を開始しないで経過観察する方法
もあります。
 
Q:前立腺がんに対してどのような取り組みを?
- 日本では年間1万人以上が前立腺ガンで亡くなっておられます。転移がない場合、前立腺ガンの多く
は前立腺の全摘出(切除)治療が適応されるケースが多いのが実情です。しかし、摘出手術を受けた
患者の中には、その結果、尿失禁やインポテンツなどで悩むケースも・・。

一方、低リスクガンでは、慌てて治療をしなくても良い可能性が高いにも関わらず、その可能性を患者
さんにしっかり説明されずに過剰治療が行われている現状があります。

そこで、前立腺の全摘出(切除)治療が主流だった10年以上前から、経過観察をしながら、病勢が増悪
したものだけを治療する監視療法を進めています。もちろん、前立腺の摘出手術が必要だと判断された
場合には、世界水準の高度な手術を提供するように努めています。

最近は、ダビンチというロボットを使った高度な腹腔鏡手術を開始しており、合併症の罹患率をさらに
減らす取組みを開始しています。個々のガン患者のリスクをしっかり見極め、適切な治療方法を提供
することを大事にしています。
 
次に、筧教授の仕事について話を伺ってみた。筧教授はなぜ医師になろうとしたのだろうか、また、医師の
仕事にはどんなやりがいがあるのだろうか?

Q:医師になろうとしたきっかけは何でしょうか?
- ひいおじいさんの時から医者をしており、医者の家系で育ったのです。他の選択肢は思い浮かびません
でしたね。音楽も好きだったので、オーケストラに関心もあったのですが、医師になるというのが自然の流れ
だったんです。
 
泌尿器科を選んだのは、外科系の中では歴史が浅く、日本では地位が確立されていなかったからなんです。
自分の中で反骨心もあり、泌尿器科の地位確立のためにやってやるぞと思ったんです(笑)。また、京都大学
の恩師に惹かれたというのもありますね。

Q:仕事のやりがいはどんな部分ですか?

- 私は、常識を変えたいという思いを持っています。研究面では、誰も気づいていない現象に気づき、その
理論的背景を新しく発見された事実として発表できるとうれしいですね。泌尿器科ではバイブルと呼ばれて
いるキャンベルという教科書に私の研究結果がいくつか掲載されていることは密かに誇りにしています。

ただ、常識と違うことを唱えると反対意見を受けます。前立腺ガンの治療にしても、過剰治療がなされている
現状でいいのか?と思っていました。前立腺ガンの無治療監視療法を提唱した時には、何を言っているの
か?という意見もありました。

しかし、厚生労働省の研究班を指揮して研究を進め、徐々に日本にも監視療法が定着してきていることは
嬉しいですね。

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筧 善行(かけひ よしゆき)さん
Profile
京都大学大学院医学研究科卒業。医学博士。
京都大学医学部泌尿器科講師や助教授などを経て、
平成13年から香川大学医学部泌尿器科教授を務める。
平成23年4月から香川大学医学部付属病院長を併任。

住所:香川県木田郡三木町池戸1750-1 
     香川大学医学部 泌尿器科学教室
TEL:087-891-2202
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